その人の価値観を大切に

私の腕時計は祖父の形見です。

もう30年以上前のもので、数ヶ月前から止まったり動いたりを繰り返していました。
電池切れかと思って電池を替えてみても、同じ現象が生じます。
そろそろ寿命なのかと思って修理を依頼すると、本体の値段以上にかかってしまう可能性があるので、新しいものを買ってみてはどうですか?と勧められました。

当然の対応とは思いつつ、私にとって、この時計には物の単純な価値以上の価値がある(祖父との思い出、弁護士になろうと思った出発点)ので、そのお店には修理を依頼せず、知人に依頼することにしました。

その知人は、私がその腕時計にかける思いをしっかりと聞いてくれて、「直します!」と断言してくれました。

安心して預け、1ヶ月後、修理が完了しました。ぴかぴかに磨き上げられて、生まれ変わったような輝きを取り戻した腕時計を見て、とても満足しました。

同じものでも、価値は人によって異なります。
そして、同じものでも、そこに意味づけが加わると、価値が変わります。

先日、獣医の知人からも、ペットの購入価格よりも高い手術費用がかかるにも拘わらず、手術を依頼される方が多いという話しを聞きました。その人にとって、ペットが家族と同然と思って入れば、金額が問題ではなくなるわけです。

実は、弁護士の仕事も同じです。損害額よりも大きな弁護士費用がかかってしまうことがあります。
しかし、依頼される方が損害を回復したいという思いよりも、正義を貫きたい、不正を許すわけにはいかないというところに価値を置いておられる場合、損得を度外視して、一緒に戦います。

その人がその物に抱いている価値、価値観をしっかりと捉えること。
そしてそれを大切にすること。

今後もしっかりと意識して、仕事をしたいと思います。

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