7月17日、東京地裁で一つの判決が出されました。
新潮社に対して250万円の損害賠償金の支払いを命じる判決です。
公金を横領したかのような週刊新潮の広告で名誉を傷つけられたとして、東京都の小池百合子知事が新潮社に5千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決です。
報道によれば、今回の裁判で問題となったのは、昨年5月の「小池都知事は公金1100万円を横領した!」という見出しです。記事の内容は、小池氏が特別顧問を務めていた地域政党「都民ファーストの会」の野田数代表(当時)が、公金を横領した疑惑があるという内容でした。
見出しには「『都民ファーストの会』代表」という文字もありましたが、判決は「小池都知事」の文字の4分の1程度の大きさで、見落とす可能性もあると指摘。見出しが「記事に対する理解を大きく誤らせ、体裁上の工夫として社会通念上、認容される範囲を逸脱する」として賠償を命じました。
インターネットや雑誌などに人の社会的な信用を低下させる内容を掲載すると、名誉毀損にあたり、民事上は損害賠償、刑事上も犯罪に該当する場合があります。
今回の広告の場合、見出しが小池氏があたかも横領したかのような記載になっていたために、問題となりました。見出しは人の目を引くために少し過激な表現を使うことはしばしばあることですが、誤解を生む表現をしてしまうと、名誉毀損にあたることがあるため、気をつけたいです。
最近はインターネット等を使って誰でも発信できるため、投稿内容には十分に注意したいものです。特に、どこまで広がるかを考えもせずに投稿してしまい、思わぬ反響に投稿した本人が驚くという事態もあります。常に相手がいること、そしてインターネットがどこまでも広がっていくものだということを意識し、人を傷つける表現をしないよう気をつけたいものです。