その人の見た世界を伝えること~弁護士の仕事の舞台裏

弁護士の仕事は、どんなものか。

ひょっとすると、とても理屈っぽくて、冷たくて、感情のない世界と思われているかもしれません。でも、実はとても感情的で、人間味が溢れています。今日は、それが少しでもわかっていただければと思って、書いてみます。

たとえば、ここにコップがあるとします。

コップはどこから見るかによって形が異なります。

たとえば、真横から見れば四角。

上から見れば丸。

斜めから見れば、円筒形。

見る人の角度によって見え方が異なります。

人生で起きる出来事も同じです。

同じ経験をしても、違って感じられる。

だから、自分のクライアントの目にはどのように映っていたのか。

その人の見た世界はどのようなものであったのか。

それを言葉にし、裁判所に伝える。

そこには、感情がいっぱい溢れています。

裁判官も人間。だからこそ、この人を勝たせねばならないという感情が動いたとき、理屈は後からついてくるのです。

だから、ストーリーが大事です。その人が経験した世界、物語。何が起きたのか。どう見えたのか。それをしっかりと伝える。そして、その物語を裏付けるだけの論理や理屈、証拠の見方、読み方もしっかりと伝える。しっかりと伝われば、弁護士の仕事は成功です。

逆に頭でっかちに理屈だけで戦うと、負けてしまことも・・・。

こんなことがありました。「訴えられました!」と訴状を持って事務所に駆け込んできた依頼者。訴状を見て、証拠を見ると、ほぼ完璧・・・いや、これ、負けますよ・・・。そう思ったものの、その人の話を聞いてみると、明らかにはめられている。騙されている。この人がこの裁判で負けるのはおかしいと感じました。

そこで、見通しは厳しいものであることを伝えつつ、受任しました。裁判所には、如何にその人が法律的に無知で素人で素直か、そしてどうやってはめられたのか、証拠は揃っていても、一般的に言ってこれはおかしいということを書面に書いて伝えました。

しばらく書面上での議論を繰り返した後、裁判官から和解の協議が持ちかけられ、その内容はほぼこちらの主張を前提とするものでした。裁判官の感情が動いたのです。これは、原告(訴えた人)を勝たせるべきではない、と。

こんなことを書くと、不思議に思われるかも知れません。でも、弁護士の仕事は人間味にあふれているのです。いわば、その人の見た世界や経験を、裁判官にわかる言葉、裁判に伝わる言葉で伝えること。それが弁護士の仕事なのです。

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