トイレに行きたい!を無視したために無罪?

2018年7月27日、さいたま地裁で無罪判決(覚せい剤取締法違反〔所持・使用〕)が出されました。
ひところ、99.9というドラマが流行りましたが、刑事事件において無罪判決は非常に珍しいです。

どんな事件であったのか。

報道によると、今回無罪判決を受けた男性は2017年11月、さいたま市内の駐車場で2人の警察官から職務質問を受けた際「トイレに行きたい。漏れる」と連呼しました。しかし警察官は証拠を隠すのではないかと思ってトイレに行くことを許さず、男性が公衆の面前で排便した後も所持品検査を続行して、覚せい剤を提出させたとのことです。

どうしてこれで無罪になるのか。実際に覚せい剤は出てきているわけですから、犯罪が行われていたことはほぼ明らかです。

しかし、今回の裁判で問題になったのは、職務質問のやり方が違法だと言うこと。そして、違法な捜査によって得られた証拠は、法律に反して集められた証拠と言われて、裁判で使えなくなってしまうのです。

裁判では、証拠によって認められる事実をもとにして判決が出されます。今回、覚せい剤を持っていたという証拠は使えないわけですから、裁判では男性が覚せい剤を持っていたことを証明できないわけです。よって、無罪、というわけです。

裁判では真実を明らかにすると思われがちですが、証拠によって認定できる事実を明らかにしていく場です。ですから、民事事件でも、証拠がなければ勝てません。そのため、弁護士は依頼者から話を聞くときも、「何か証拠はないか・・・」と考えながら聞いているのです。

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