同一労働同一賃金ガイドラインのたたき台

働き方改革関連法に関して、
同一労働同一賃金のガイドラインのたたき台が
8月30日に示されました。

これまでは「案」の段階であったのが、
一つ進んだ格好です。
年内には正式なものが示される予定です。

前回から変わった部分で最も注目されるのが、
ガイドライン案において、「今後の法改正の検討過程を含め、検討を行う」として
具体的な言及のなかった定年後の継続雇用における対応の部分です。

ここについては、以下のように、
本年6月1日に出された長澤運輸事件を受けて
修正がなされています(長いですが、引用します)。

同一労働同一賃金ガイドラインたたき台

さらに、定年制の下における通常の労働者の賃金体系は、当該労働者が定年に達するまで長期間雇用することを前提に定められたものであることが少なくないと解される。これに対し、事業主が定年に達した者を有期雇用労働者として継続雇用する場合、当該者を長期間雇用することは通常予定されていない。また、定年に達した後に継続雇用される有期雇用労働者は、定年に達するまでの間、通常の労働者として賃金の支給を受けてきた者であり、一定の要件を満たせば老齢厚生年金の支給を受けることが予定されている。そして、このような事情は、定年に達した後に継続雇用される有期雇用労働者の賃金体系の在り方を検討するに当たって、その基礎になるものであるということができる。

そうすると、有期雇用労働者が定年に達した後に継続雇用された者であることは、通常の労働者と当該有期雇用労働者との間の待遇の相違が不合理であるか否かを判断するに当たり、短時間・有期雇用労働法第八条における「その他の事情」として考慮される事情に当たりうる。また、定年に達した後に引き続き有期雇用労働者として雇用する場合の待遇について、例えば、労働組合等との交渉を経て、当該有期雇用労働者に配慮したものとしたことや、待遇の性質及び目的を踏まえつつ他の待遇の内容を考慮すると、通常の労働者との間の差が一定の範囲にとどまっていること、老齢厚生年金の報酬比例部分の支給が開始されるまでの間、一定の上乗せが行われること、定年退職に関連して退職一時金や企業年金の支給を受けていることなどの様々な事情が総合考慮されて、通常の労働者と当該有期雇用労働者との間の待遇の相違が不合理であるか否かが判断されるものと考えられる。

したがって、当該有期雇用労働者が定年に達した後に継続雇用される者であることのみをもって、直ちに通常の労働者と当該有期雇用労働者との間の待遇の相違が不合理ではないとされるものではない

ほぼそのまま長澤運輸事件の判決を盛り込んでいると言えます。
これで定年後の再雇用についてはある程度減額することが可能と言うことは
はっきりしました。

ただ、具体的な場面で、どのような状況でどの程度の減額が可能なのかについては、
はっきりしないままと言えます。長澤運輸事件の判決を読んでいても、
たくさんの事情を総合的に判断をしています。

ですので、最終的には社労士、弁護士と相談しつつ、リスクを見極める必要が
あると思います。

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