「裁判で真実を明らかにしたい」
相談者からよく聞く言葉です。
裁判のご依頼ですから、着手金も発生しますから、
受ければよいと思われる弁護士もいるかもしれません。
ただ、私はこのような相談を受けると、
「ちょっと待ってください」と言います。
それは、この相談者が裁判を誤解している可能性があるからです。
裁判は真実を明らかにする場ではありません。
あくまでも、原告が被告に対して請求していることが、
証拠から明らかになる事実によって認められるかどうかを
判定するにすぎません。
ですから、相談者の言う「真実」は
明らかにならないことが多いです。
特に言葉で述べただけで何も証拠が残っていないことは、
証明することは極めて難しいです。
相手が、「言っていない」「聞いていない」と言えば、
証明することは困難です。
そうなると、相手が嘘を言っている!という
不満ばかりがつのることもあり得ます。
相手が求める期待値と
実際の期待値が異なる場合、
不満が残るだけです。
弁護士としては、裁判がどんなものか、
メリットデメリットをしっかりと説明して、
それでも裁判したいと言われれば
一緒に戦います。
でも、しっかりと情報提供することが
大前提です。
私たちが求めるのは、
相談に来られた方の安心と納得。
それにプラスになることはしますが、
マイナスになることは、
できる限り受けないようにしています。