弁護士はよく交渉を行います。
その前提として大事なのは依頼者との信頼関係です。
そしてもう一つ大事なのが、相手との信頼関係です。
相手とは対立関係が生じるので、信頼関係など生じるのかと
思われるかもしれません。
しかし、最終的な解決を考えた場合、相手の立場を無視した
提案では断られてしまいますので、相手の立場に配慮しつつ、
相手も納得する提案をする必要があります。
そして、その時に大事なのが、相手の信頼感です。
弁護士は依頼者の利益を最大化することが期待されます。
相手をこてんぱんに倒してしまうことを望まれる依頼者もいます。
ただ、それは最終的には不幸な結果をもたらすことが多いです。
特に、金沢のような良くも悪くも狭い社会においては、
トラブルが終わった後も、当事者同士で関係性が継続することも多く、
着地点をどこに置くかは非常に大事な問題です。
(このことを依頼者に説明し、納得していただいて、交渉を行います。
ただ、どうしても納得されない場合や、相手の対応がひどく、
徹底的にやった方が望ましいと思われる場合は、徹底的にやります)
依頼者の利益を最大化しようと思えば、相手の立場にも配慮した方が
良い場合が多いのです。
あくまでもクライアントファーストでありながら、
相手のことも無視しない。難しい両立ですが、
それを求めていくべきだと思います。
先日、こんなことがありました。
電話がかかり、出てみると、以前は相手方側についていた人からでした。
曰く、「自分の知人で困っている人がいる。助けてやってくれないか」との
ことでした。もうすでに前の件は解決していますから、問題はありません
(解決というより、協力するということで終わっているので)。
しかし、戦った相手という立場の人から紹介というのは珍しいです。
後で聞くと、私の交渉態度を見て、「この人は信頼できる!」と思った。
誰か弁護士をと思った時に、真っ先に頭に浮かんだ、とのことでした。
六方よしと言われます。
皆が幸せになれる道を模索していきたいと思います。