今日は、契約書や委任状を作るときの注意点の一つをご紹介いたします。
契約書や委任状を作成する場合、署名の横に押印をします。
(企業であれば、横判の横に押印しますね)
でも、もう一つ押印を求められたことはないでしょうか。
これは、「捨て印」と言われるものです。
もし契約書に間違いがあった場合に、捨て印を押しておけば、わざわざ相手に訂正印をもらわなくても訂正ができるのです。
ですから、もし後から間違いに気づいた場合でも、改めて相手にお願いして訂正してもらう必要がないので、便利ですね。
でも、逆に言うと恐ろしいのです。
たとえば、押印の後、相手がこちらに黙って金額欄を訂正することもできてしまうわけです。
もし、相手がはじめから騙そうと思っている人であった場合、あえて捨て印をもらって、後から契約書の金額や数量を修正して、「あなたの要望で修正したのですよ」と平然と言うでしょう。
ビジネス法務では、契約の金額も高額になり得ますから、より注意が必要です。
一方で、弁護士の業界でも、依頼人から捨て印を予めもらうことは多いのが実態です。
私はあまり好ましいものではないと思ってはいるのですが、もしいただく場合でも、捨て印の意味を説明して、ご納得いただいてから押印していただきます。
捨て印を押すのは、相手が信頼できる人の場合だけにと心得ておかれることをお勧め致します。