働き方改革関連法の改正で一つの大きなトピックが同一労働同一賃金です。
言葉だけ聞くと、同じ仕事をしている人には同じ賃金を渡さなければいけないのかな?
と思います。
しかし、ことはそう簡単なものではなくて、結構複雑です。
大切なことは、正社員とパート・有期雇用社員との間で、不合理な差別を設けてはいけない、
均衡(バランス)を保たなければならないということです。
※均等と均衡は異なります。
均等が求められる場面もあるのですが、多くは均衡です。
きちんとした理由のある差であればよいのですが、
パートだからという理由だけで手当を支給しないと、
不合理だとなってしまいます。
そこで、具体的な手当を今後、少しずつ紹介していきたいと思います。
○皆勤手当。
正社員には皆勤手当が支給されるが、
パートには支給されない。
休まず出勤してもらうことを奨励するという趣旨が一般的です。
この趣旨は、正社員だろうが、パートだろうが変わりません。
それなのに、差を設けるのは不合理だ、となります。
実際、ハマキョウレックスの最高裁判決では正社員に支給して
契約社員に支給しないことは「不合理」としています。
○作業手当
特殊な作業を行っている人にのみ支給されていて、
それが正社員もパートも同様ということであればよいのですが、
同じ業務を行っているのに、正社員にだけ支給するということは、
不合理とされてしまいます。
ハマキョウレックスの最高裁判決でも、
「不合理」とされています。
○年末年始勤務手当
これが問題になったのが日本郵便事件です。
年末年始の期間に労働したことの対価として、
別に支給がされていましたが、非正規社員には
支給していませんでした。
裁判所は、「不合理」としました。
○夜間特別勤務手当。
正社員には、深夜労働した人に通常の手当に割り増しして
支払っているが、パートには支払っていない。
これはどうでしょうか。
仮に、パートについて、募集の段階で深夜労働であることが
前提となっていて、それを見込んだ時給になっていた場合、
これは不合理ではないということになります。
今日はこのあたりまでとしたいと思いますが、
このように、結構複雑なのです。
一応、厚生労働省がガイドライン(案)を出してはいるものの、
グレーな部分がたくさんあって、わかりにくいです。
同一労働・同一賃金の制度をしっかりとやろうとすると、
給与の制度全体を見直さねばなりません。
一度、社労士や弁護士などの専門家に相談されることを
お勧めいたします。